忘却

1300 担当医からの状況説明。個室にて。
腹水が溜まっており2回目の今日も4㍑近く抜いた。CTを見ながらの説明であったので明らかに腹部に大量の腹水があるのが判る。それも相当量だ。今後も週2回のペースで抜かなければならない。抜くには激痛が伴う。腹水を抜くと体力減少を招くので出来る限り行いたくない。腹水が溜まると苦しくなり、内臓が圧迫されおう吐も起こる。痛みの原因は「腹膜播種」といい、腸を覆っている薄皮(腹膜)にガンが散らばっておりそのガンが腹水と痛みの原因である。痛み止めによる覚醒は避けられない。そのうち家族でもコミュニケーションがとれなくなる。痛み止めの量については同じ量を毎回投与しているが体力が無くなってきているので効きが強い。それだけ覚醒反応も強い。など状況はかなり厳しい。本人はまだ治療を行う気力があることを告げたが今後の治療は考えていないとのこと。出来るだけ痛みを和らげるために睡眠薬や痛み止めを利用し余命を快適に過ごせる努力をしますと言っていた。担当医の言葉からは「正月を・・・」という言葉は出てこなかった。更に、呼吸や心拍が少なくなった時は、もうこれだけ頑張ってきたのだから人工呼吸や心臓マッサージを行わず静かに逝かせたいと思うがどうか?の問いにお願いしますと解答した。絶句、意気消沈・・・



説明が終わり部屋を出てデイルームで暫く唖然としていた。やはり来るときが来た。外を見ながら途方に暮れた。



気を持ち直し病室へ。
目を開けて天井を見ていた。動揺している仕草は見せられない。会話にはやはり若干の幻覚の症状あり。7割通常3割覚醒。病院の請求書や他の支払のことを気にしていた。通帳を渡され銀行でお金を下ろし支払を済ませる命を受ける。了解した。
尖閣諸島における日本と中国間の問題、日本国憲法脆弱性、現内閣の無機能さなど今日は難しい話をしていた。ウンウンワカル・・・ヨウナ・・・

1600 全ての支払を終え再び病室。9割正常1割覚醒。目もしっかりと開きしゃべる言葉もハッキリしている。多少判らないことを言うが問題ない。自分でも夢と現実の区別が付かない、頭のなかがゴチャゴチャしていると言っていた。覚醒の自覚はあるみたいだ。

担当医に言われたことをMaに伝えた。心苦しい。
覚悟はしているもののショックは大きい。
今日は忘れない。